時に人は苦難の道を自ら選び、旅に出ることも必要だ。
足りないものが分かっているときの選択肢はただ一つ。
修行の旅に出よ。
ピアノの発表会を目前に、私はすさまじく緊張していた。
ペダルを踏む足はガタガタ震え、鍵盤に向かう両手はブルブル震える。
200人を前にして “話す” ことはできるのに、
20人を前に “弾く” ことができない。
子どものころは平然と舞台に出て行ったのに、
大人になるとなぜもこう緊張するのか。
そんなこんなで、発表会の前日、思いきってストリートピアノをハシゴしてみた。
最近じわじわと賑わってきている、いわゆる駅ピアノ。
初戦、東京ドーム近くの展望台。その足で横浜へ移動し2戦目。
一人乗り込み、知らない人がたくさんいる前でピアノに向き合う。
心拍数は上がり、妙な汗をかき、手足が震える。
「失敗の積み重ねが成功」
「怖がって失敗のない人には成功もない」
そんな言葉を胸に、修行の旅に出たのであった。
ストリートファイター 馬場 舞子