寂寥

先日訪れたシニアレジデンスにお習字が飾られていた。
入居者の皆さまの作品だ。
その中でひと際心を奪われた作品は、縦書きの上品な字。

「さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
 いづくも同じ 秋の夕暮れ」

どんな思いでこの歌を書いたのだろう?
ガラス張りの施設から見える秋空を眺め考えたらぐっときた。

どこも同じように寂しいのだ。
皆同じように寂しさを抱えているのだ。
自分と、入居者のおじいさま、おばあさまと
そして時を超えて平安時代の読み人と
思いがシンクロしたある秋の日であった。

馬場 舞子

#百人一首70番
#良暹法師

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