6月ワールドカップ開幕前、日本ではしきりにブラジル国内での治安面の不安が叫ばれていた
『強盗の発生率は日本の約300倍。スマホや時計、デジカメは盗まれる可能性が高いので、絶対に街中で見せないように!』
知り合いからも、『目の前で銃を突きつけられて脅され、バッグを盗まれた。くれぐれも油断しないように!』
と体験談を聞かされ、渡航前は期待と同時に『本当に行ってもよいのか…』と真剣に悩んだものだ
はたして現在の感想はというと…“拍子抜け” という言葉がそのものずばりあらわしている
確かに、情報をもとに街中では極力スマホは使わず、デジカメを使うのも周りを見渡してから…と気を付けもした
それ以上に“拍子抜け”と思わせるのは、ブラジルの人々の明るく、フレンドリーなその振る舞いに触れたからだろう
特に日本戦を観たナタウの街では、Vamos japon!と叫ぶブラジルのサポーターがそこかしこにあふれ、声を掛ければ陽気に写真に納まってくれる
ナタウのスタジアム近くにあるカルフールでは、素敵な出会いが待っていた
次男が声を掛けたのは、二人のご婦人…ひとしきり会話をしていると、旦那様が戻ってらっしゃった
その方は日本人の技術者。20代の時に技術交流でブラジルに渡り、日本の精緻なものつくりを伝えられ、そのままナタウの地で家族に恵まれたという
ナタウの街に日本人が来ることなどほとんどなく驚いているとともに、この地で日本語に触れることなど感無量!とのこと
その目には、誇りと自信そして少年のような輝きが宿っていた
そうか、ブラジルの人々から日本人に対する敬意に近いフレンドリーさを感じるのは、このような偉大なる先達がいらっしゃるからなんだ!とその時初めて気づいた
帰国し、教えていただいたメールアドレスに、出会いの感謝と家族で納まった写真を送らせていただいた
返信頂いたメールは『ワールドカップが結んでくれた縁に感謝します。次回ナタウにいらっしゃるときには、我が家を拠点にナタウの魅力を存分に味わって頂きたいと思っています。』と結ばれていた
いつか必ず再訪しよう
また一つ目標ができた
小田 正信