千葉・幕張に行きつけの小さなスペインバルがある
次男がバイトをしていたことをきっかけに通い始めて
かれこれ8年くらい経つだろうか
1階のカウンターで飲んでいると、そこに集まった人同士で会話が生まれる
お酒を楽しむご夫婦、ご隠居された紳士、社会人デビューしたばかりの若者、
大学生や留学生、はたまた外語大の語学講師、マリーンズファン、JEFサポ…
みな、ここに来るといい顔をしている
そんな人々を惹きつけてきたこのバルが15年の歴史を閉じるという
最終日、寂しい思いで訪れると店主の奥様から
この店を引き継ぎたいという若者を紹介された
しばし彼の想いを聴くうちに、過去の断片がつながり始める
彼は10歳のころサッカーをやっていた、背が高かったのでポジションはGK
遠征に行くチームの人数が足りず、親交のあるチームに応援を頼んで山中湖へ行った
親交のあったチームから応援で遠征に参加したのが、私の長男
その遠征にサポートで帯同していたのが、私自身
そう、彼と私は18年前に出会っていた
彼が言う、このお店の雰囲気を作っているのは、ここで笑っているお客さん
だから何も手を加えず、そのまま営業したい、そして、みなの居場所になりたいと
次男に仕事の楽しさと厳しさを教えてくれた店主の奥様に、心からの感謝を伝えた夜は
新しい道を歩み出そうとする、旧知の若者のチャレンジを心から励ます夜だった
小田 正信