夏の終わりに僕は国道134号線を走っていた。
ここを走ると、甘酸っぱくも痛い多くの記憶が走馬灯のようによみがえる。
湘南の海は人生のターニングポイントに登場することが多かった。
大分麦焼酎二階堂風に言うなら
錆びついていた時計が再び時を刻み、古びた迷路が一筋の道になろうとする瞬間が
この道を走るとやってくる。
思わずいろんな出来事を思い出し、ひとり、声を発した。
「あー、おれはいつも気付くのが5年遅いんだよな」
すると横にいた妻が、ぽろっと「いいじゃない、それが深みになってると思えば」
妻へのポイントアップキャンペーン期間中でも何でもないし
どうせこれ読んでるわけもないんだけど、この夏、案外心に沁みた良い一言だった。
近道は遠回り
始まりと終わりをつなげない道がこの世にはあるのかもしれません。
増田元長